コピートレード(通称「コピトレ」)とは、プロトレーダーや上手なトレーダーの取引を自分の口座で自動的にコピーする仕組みです。
自分で売買する手間が省けるため便利ですが、「コピトレは怪しい」「詐欺ではないか?」といった声も少なくありません。
その背景には実際に被害報告が相次いだ事件の存在があります。
本記事では、SNSで話題になったコピトレ詐欺疑惑の実例を紹介しつつ、なぜコピトレが怪しまれやすいのか、その理由を探ります。
またTitanFXやXM、HFM(HotForex)など有名で信頼性の高いブローカーを使ったコピトレについても触れ、すべてのコピトレが怪しいわけではないことをお伝えします。
SNSで噂になったコピトレ詐欺疑惑の実例
まずは、SNS上で大きな話題となったコピートレードに関するトラブルの実例を2つ紹介します。
投資家テツの「ギアシステム」騒動
2021年11月、有名投資系YouTuberを名乗る投資家テツさんが提供していたMAM方式のコピートレードサービス「ギアシステム(Gear System)」が突如として破綻し、利用者の資金がほぼ全損する事件が起きました。
ギアシステムは月利12%・勝率80%で月間負けなしという驚異的な成績を謳うFX自動売買サービスで、元々198,000円のツール代金が期間限定で0円になるなど、一見とても魅力的な内容でした。
投資家テツ氏は自身の「投資家テツFXライク」というYouTubeチャンネルでこのサービスを宣伝していましたが、実際には本人の顔出しはなく、髭を生やした3Dアバター姿で出演していたこともあり、その匿名性も後々物議を醸すことになります。
事件が起きたのは11月5日夜から6日朝にかけてのことです。
SNS上では
といった被害報告が一気に噴出しました。
実際、#ギアシステムのハッシュタグには
という投稿や
という悲痛な声が残されています。
中には
といった書き込みもあり、「ポンジ・スキーム」(出資金を配当に充てる自転車操業的詐欺)ではないかと疑う声も上がりました。
実はギアシステムで使われていた海外ブローカー「TradingForex Asia」は無登録の怪しい業者で、金融ライセンスもない会社でした。
案の定、ギアシステム崩壊時には同じブローカー上で稼働していた「ユニバースシステムプロ」「MAXトレード」「Solid3」など他のMAMサービスも芋づる式に資金が溶けており、明らかに不自然な同時多発的破綻でした。
本来その期間、大きな相場変動は起きていなかったため
「証券会社と運営が結託して意図的に資金を溶かしたのではないか?」
との疑念も持たれています。
被害に遭ったユーザーたちはX上で情報を共有し合い、投資家テツ氏の正体を暴こうという動きも見られました(実名は那須善次との噂も飛び交いました)。
と怒りを露わにする声や、「ギアシステムやMAXトレード、ユニバースシステムの破綻に投資家テツが関与しているようだ」といった指摘も出ています。
投資家テツ氏本人から明確な釈明はなく、被害者たちは集団訴訟も視野に入れて動いている模様です。
AssassinFX(アサシンFX)の「ポンジスキーム」疑惑
次に紹介するのは、2023年7月に明るみに出た大規模なコピートレード詐欺疑惑です。
海外の新興FXブローカーAssassinFX(アサシンFX)を舞台に、Twitter上で20人近い自称トレーダーたちが「高勝率のコピトレがありますよ!」と勧誘を行い、多数のユーザーが参加しました。
彼らはTwitterからLINEグループに人々を誘導し、さらに各トレーダーのDiscord内でコピー運用をさせる形で利用者を集めていきました。
当初、コピートレードの成績は順調に見えていたようですが、2023年7月3日のある日、各トレーダーの口座で突如として不可解な超大型ロットの取引が一斉に行われ、参加者の口座は強制ロスカット(証拠金ゼロの全損)に追い込まれました。
青天の霹靂のような出来事により、SNS上には
といった阿鼻叫喚の声があふれます。
被害者はTwitter上に続出し、すぐに被害者の会も組織されました。
報道によれば被害総額は数億円規模、被害者は数千人にのぼるとも言われています。
被害者たちはLINEのオープンチャットで情報交換を行い、弁護士による集団訴訟に向けた動きも始まっています。
この事件でも、投資家テツの件と同様にブローカー(AssassinFX社)とコピトレ運営者がグルだったのではないか」という疑いが持たれました。
実際、後日出てきた情報では「コピトレのトレーダーがわざと強制ロスカットになるような取引を行った」とも言われており、意図的に利用者の資金を溶かした可能性が高いと見られています。
いわゆるポンジ・スキーム型の手口で、最初は儲かっているように見せかけておき、途中で資金を引き出そうとすると引き出せず、最終的に口座を飛ばして証拠金を丸ごと奪う――
そんな筋書きだったのではないかと多くの人が考えています。
AssassinFX社自体、2021年設立の新興ブローカーであり、日本語サイトの不自然さや異常に狭いスプレッド(手数料)設定など、不審な点が指摘されていました。
案の定この騒動後、AssassinFX社からは正常に出金できない状態が続き、事実上ユーザー資金を持ち逃げされた形になっています。
フォロワー3万人超えの有名FX系インフルエンサーがこの案件を紹介していたことも発覚し、SNS上では更なる炎上と波紋が広がりました。
最終的な真相解明はまだですが、過去の例から考えてもほぼ黒(詐欺)だろうというのが大方の見方です。
被害者の中には「以前から悪評のあるブローカーをあえて指定していた時点で怪しいと思うべきだった」という声もあり、今後の教訓となる出来事となりました。
コピートレードが怪しいと思われがちな理由
上記のような事件が立て続けに起こったことで、SNSでは「コピトレ=詐欺じゃないの?」というイメージが広まりました。
それでは、なぜコピートレードは怪しいと思われがちなのでしょうか?
主な理由や典型的なパターンをまとめてみます。
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聞いたことのない海外FXブローカーを使っている
上記例でも共通していますが、詐欺的なコピトレ案件では無名で信頼性の低い海外ブローカーが使われがちです。
こうした業者は金融ライセンスを持たず、いわゆる「B-Book業者」(顧客の注文を市場に流さず店内処理するタイプのブローカー)であるケースが多いです。
B-Book業者の場合、顧客が負ければその損失がそのままブローカー側の利益になります。
そのため、ブローカーとトレーダーが結託して意図的に大負けさせ、顧客の資金を山分けするという極めて悪質な詐欺が起こり得るのです。
実際、コピトレ詐欺やポンジ・スキームと呼ばれる案件のほとんどはB-Book業者で発生しているのが現状です。 -
利益確定報酬ではなく取引手数料狙い
正常なコピートレードサービスでは、トレーダーは運用で出した利益の一部(パフォーマンスフィー)を報酬として受け取ります。
一方、詐欺まがいのコピトレでは取引手数料のキックバックがトレーダー報酬になっているケースがあります。
この場合、トレーダー側は顧客に利益を出させなくても、自分が大量の取引をさせればさせるほど手数料収入で儲かってしまうため、わざとハイリスク取引で負けさせようとするインセンティブが働きます。
先述のAssassinFXの件や、同時期に起きたAmazingTickという別案件では、まさにトレーダー報酬が手数料バックで、Xデー以前は毎日プラス収益を装いながら最終的に一斉ロスカットに持ち込む手口でした。
このように顧客の損失=運営側の利益となる仕組みが隠されていると非常に危険です。 -
月利◯%保証など謳う高すぎる利回り
「毎月◯%の利益保証」「絶対に負けない」といったうたい文句で勧誘してくるものは警戒が必要です。
ギアシステムの例でも「月利12%・月間負けなし」と宣伝されていましたが、現実の相場で損失ゼロで勝ち続ける手法など存在しません。
常識はずれにおいしい話はまず疑ってかかるのが得策です。 -
出金トラブルの報告
「出金できない」「出金申請した途端に口座凍結された」などの口コミが出ている場合は非常に危険です。
実際、AssassinFXの件では早い段階で一部ユーザーから「利益を出金しようとしたらできなかった」との報告があり、結果的にその不安が的中しています。
出金拒否は金融業者として論外であり、それが起きている時点で黒に近いと判断できます。
以上のような点から、聞いたこともない海外業者でやっているコピトレはどうしても警戒されてしまいます。
もちろん、すべてのコピートレードが詐欺というわけではありません。
しかし残念ながら、近年は悪質な業者とトレーダーがグルになった詐欺的案件が相次いだため、「コピトレ=怪しい」と思われがちな風潮になってしまっているのです。
有名ブローカーを使ったコピトレなら安心?信頼性について
「それじゃあコピートレードは全部やめた方がいいの?」というと、必ずしもそうではありません。
肝心なのはどのブローカー(証券会社)と組んで運用しているかです。
一般にTitanFXやXM(XMTrading)、HFM(HotForex)といった知名度の高い海外FX会社は、金融ライセンスを複数取得して営業しており、少なくとも詐欺を働くような会社ではないと考えられます。
実際、こうした大手ブローカーの多くは顧客資金の分別管理や出金対応もしっかりしており、評判も良好です。
TitanFXやHFMは自社でコピートレードサービス(ソーシャルトレード機能)も提供していますが、これらは健全な仕組みの上に成り立っているため、トレーダーと結託して意図的に全損トレードを仕掛けるような事態は起こりにくいと言えます。
また、万が一トレーダーが下手で損失が出てしまった場合でも、ブローカー自体が信頼できれば資金を引き出せず泣き寝入り…という最悪の事態は避けられます。
要するに、「このコピトレ怪しいかも?」と思ったら利用ブローカーの名前をまずチェックしてみましょう。
名前を聞いたことがない業者やライセンス無登録の業者の場合は赤信号です。
逆に、XMやTitanFXのように業界で評判の良いブローカーで運用されているコピトレであれば、少なくともブローカーぐるみの詐欺である可能性は低いでしょう。
わかりやすい判別方法としては、Xでブローカーの名前を検索してみたり、マネチャのようなキャッシュバックサイトで取り扱っているかを見てみることです。

もちろん、だからといって必ず儲かる保証はありません。
あくまでコピーしているトレーダーの腕次第ですし、有名ブローカーであっても相場状況によっては損失を被るリスクがあります。
ただ、信頼できる環境で行われているコピートレードであれば、極端な不正や出金不能といったリスクはぐっと低くなるのは確かです。
まとめ
コピートレードが「怪しい」と言われる背景には、投資家テツのギアシステム崩壊事件やAssassinFXの集団被害のように、実際に多くの人が被害に遭った事例があるためです。
これらのケースでは、無名の海外ブローカーと組んで不自然な大損失を演出し、顧客の資金を奪うという手口が疑われています。
こうした事件の存在から、「高勝率」「放置で儲かる」と宣伝されるコピトレ案件には警戒心を持つ人が増えたのは無理もありません。
しかし一方で、すべてのコピートレードが怪しいわけではないことも事実です。
信頼できる海外FX業者と健全な仕組みのもとで提供されているコピトレサービスも存在します。
大事なのは見極めであり、利用するブローカーの信頼性や運用者の実績・評判をしっかり調べることが欠かせません。
怪しい案件に引っかからないためには、「うますぎる話は疑う」「匿名の勧誘には乗らない」「ライセンスの有無を確認する」といった基本的な心構えが必要です。
安全性の高い環境で上手にコピートレードを活用すれば、プロの力を借りて資産運用の効率を上げることも夢ではありません。
ぜひ本記事で紹介した事例を教訓に、賢くコピトレと付き合っていきましょう。