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FX自動売買にPCを24時間稼働させる必要がある理由とVPSのメリット

FX自動売買を始めるにあたって、安定して動かすには24時間稼働のパソコンが欠かせません。

確かに常にPCを動かすのは大変ですし、現実的に難しい面もあります。

しかし、その悩みを解決してくれる方法があります。

それがVPS(仮想専用サーバー)の活用です。

本記事では、初心者向けにFX自動売買の基本と、なぜ常時稼働のPCが必要なのかを解説し、その代替手段として注目されるVPSの仕組みやメリットを紹介します。

FX自動売買とは?

FX自動売買とは、あらかじめ設定した取引ルールに従ってシステムが自動でFX取引を行ってくれる仕組みのことです。

専用のプログラム(一般に「EA(Expert Advisor)」と呼ばれます)をMT4やMT5といった取引プラットフォーム上で動かし、人間の代わりに売買の判断と注文執行をしてくれます。

例えば為替レートやテクニカル指標を24時間監視し、条件に合致すればエントリーや決済を自動で行います。

このように自分が見ていない時間帯も取引できるのが大きな特徴で、仕事中や夜間でもチャンスを逃さずトレードできる点が魅力です。

人間の感情に左右されない機械的なトレードが可能になるため、初心者にも人気の手法となっています。

なぜ自動売買には24時間稼働のPCが必要?

FX市場は平日ほぼ24時間開いており、相場は常に変動しています。

そのため、自動売買システムをフルに活用するには取引時間中ずっと稼働させておく必要があります

では、具体的にどうしてパソコンを常時オンにしておかなければならないのでしょうか?

主な理由は次のとおりです。

  • プログラムはPC上で動作する: 自動売買のEAはMT4/MT5などの取引ソフト内で稼働します。
    そのためPCの電源を切ったりスリープ状態にすると、これらのプログラムも停止してしまいます。
    スマホやタブレットのみで代用することはできず、基本的にWindows搭載のPCを24時間稼働させておく必要があります。

  • 24時間の市場に対応するため: 前述の通り、FX市場は平日24時間動いています。
    人間が常にマーケットに張り付くのは不可能ですが、自動売買ならシステムが休まず相場を監視してトレードしてくれます。
    もしPCの電源を落としてしまうと、その間に発生した取引チャンスをすべて逃してしまうことになり、本来得られたはずの利益も逃してしまいかねません。
    自動売買のメリットを最大化するには、システムを途切れなく稼働させることが重要です。

  • ネット接続が必須: 自動売買プログラムはリアルタイムで為替レートなどの市場データを取得し、条件に従って注文を出します。
    したがって常時インターネットに接続されていなければ正常に動作しません。
    PCがオフラインになったりネット回線が切断されたりすれば、新規注文はもちろん、保有ポジションの決済さえ行えなくなってしまいます。
    PCを常時稼働させ安定したネット接続を維持することが、自動売買を止めない絶対条件なのです。

以上の理由から、FXの自動売買を行うには基本的にパソコンを24時間稼働させておく必要があるというわけです。

これは自動売買に取り組む上での一つのハードルと言えるでしょう。

では、自宅のPCをずっとつけっぱなしにする場合、どんな問題が生じるのでしょうか?

次に、そのデメリットを見てみます。

常時稼働させるデメリット(自宅PCをつけっぱなしにする問題点)

自宅のパソコンを24時間365日動かし続けることには、いくつか見過ごせないデメリットがあります。

主なものをまとめると以下のとおりです。

  • 電気代がかかる: PCを丸一日つけっぱなしにすると電気代がばかになりません。例えば、消費電力150W程度のPC+モニターを平日稼働し続けた場合、1ヶ月で約2,100円もの電気代がかかる計算です。
    年間では約2万円以上にもなり、コスト負担は無視できません。

  • PCの寿命や故障リスク: 常に稼働させることでパソコンの各部品(CPUやGPU、ストレージ、冷却ファンなど)に常時負荷がかかります。
    休ませる暇がない分、ホコリの蓄積や熱による劣化が進みやすく、PCの寿命を縮めたり故障のリスクを高めたりする原因になります。
    特に夏場は熱暴走に注意が必要です。

  • 生活環境への影響: 自宅でPCを動かしっぱなしにしていると、ファンの駆動音や発熱が気になることがあります。
    寝室にPCがある場合、深夜のファン音は睡眠の妨げになるかもしれません。
    またPCが発する熱で室温が上がることもあり、エアコン代など間接的な負担も増える可能性があります。

  • 停電・回線トラブルのリスク: 自宅環境では突然の停電やインターネット回線の切断といったトラブルが起こり得ます。
    短時間でも電源断やネット断が起これば、その瞬間に自動売買は止まってしまい、手動で復旧するまで取引できません。
    特に重要な経済指標発表時などに止まると、大きな損失につながる恐れもあります。
    自宅の設備ではこうしたリスクを完全になくすことは難しいでしょう。

  • PCの占有と制約: 自動売買を稼働させるためにPCを専用状態にしておくと、そのPCを他の用途に使いにくくなります。
    例えば同じマシンで動画編集やゲームをするのは負荷の面でもリスクがありますし、誤って再起動やシャットダウンをしてしまうと自動売買が止まってしまいます。
    またノートPCで運用している場合、外出時に持ち出せないといった制約も生じます。

このように、自宅のPCを常時稼働させて自動売買を動かすのは手間もコストもかかり、リスクも伴うことが分かります。

それでは、これらの問題を解決するにはどうすれば良いのでしょうか?

そこで登場するのが次に紹介するVPS(仮想専用サーバー)というサービスです。

VPS(仮想専用サーバー)とは何か?

VPS(Virtual Private Server)とは、日本語では「仮想専用サーバー」と呼ばれるサービスです。

簡単に言えば、インターネット上に用意された自分専用のリモートパソコンをレンタルできる仕組みです。

データセンター内の大型サーバーの一部を仮想マシンとして切り出し、あたかも一台のパソコンを所有しているかのように使うことができます。

利用者は契約したVPSに対して、自宅のPCやスマホからリモートデスクトップ接続を行い、その中でWindows等のOSを操作します。

言い換えれば、ネット上の“もう一つのパソコン”を遠隔操作して使うイメージです。

VPSにはあらかじめOSがインストールされた状態のものが提供されるため、契約後すぐに自分専用のサーバー環境が手に入ります。

Windowsサーバーのプランを選べば、自宅のPCで使っているのとほぼ同じ感覚で操作できます。

MT4やMT5などの自動売買ソフトも通常のPCと同様にインストール可能です。

VPS上の環境は基本的に24時間稼働しており、こちらで電源を落とさない限りずっとオンのままです。

つまり、自宅PCの電源を切っていてもクラウド上のVPS内では自動売買を動かし続けることができるのです。

FX自動売買でVPSを使うメリット

では、FXの自動売買環境としてVPSを利用することで具体的にどんなメリットが得られるでしょうか?

主な利点を見ていきます。

  • 24時間止まらず動かせる: 最大のメリットは、自宅PCの電源をオフにしていても自動売買を24時間稼働できる点です。
    仕事や就寝中でもVPS上でEAが動き続け、相場が開いている限りトレードチャンスを逃しません。
    自動売買にとって理想的な常時稼働環境を手軽に手に入れられます。

  • 安定した高速ネット回線: VPSは高速なネット回線と堅牢なデータセンターに支えられており、自宅回線よりも安定して高速である場合が多いです。
    そのため注文遅延やスリッページ(注文価格と約定価格のズレ)を最小限に抑えられ、システムのパフォーマンスを最大限発揮できます。
    自宅のネットが突然切れる心配もほとんどなく、通信面での不安が大幅に軽減されます。

  • 停電やトラブルのリスク回避: VPSはプロの管理下にあるサーバーで動作するため、停電や機器故障などのトラブルが起きにくい環境です。
    仮にサーバー側でメンテナンスが発生しても、事前通知や自動再起動機能(※)によって取引の継続性が確保されているサービスもあります。
    自宅環境と比べて圧倒的に信頼性が高く安定稼働する点は、自動売買運用者にとって大きな安心材料です。

  • 自宅PCへの負荷軽減: 自動売買をVPS上に任せることで、自宅のPCリソースを消費しません。
    重たいプログラムを動かし続ける負荷が自宅PCにかからないので、普段使いのPCの動作が重くなる心配もありません。
    また自宅PCを酷使しない分、ハードウェアの劣化を防ぎ寿命を延ばす効果も期待できます。

  • コストパフォーマンス: VPSの利用には月額料金がかかりますが、そのコストはおおむね月数千円程度です。
    先述の電気代と比較すると、VPS料金は月々2千円以下に収まるプランも多く電気代よりお得になる場合があります
    さらに自宅PCの消耗や買い替えサイクルを遅らせられることを考えれば、総合的なコストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。

  • 遠隔操作でどこからでも管理: VPSはインターネット経由でリモート接続できるため、出先からでもスマホやタブレットで取引状況をチェックしたり操作したりできます。
    旅行中でもVPS上の自動売買は止まらず動き続け、必要に応じて手元の端末から介入することも可能です。
    場所に縛られずに運用をコントロールできる柔軟性も魅力です。

  • セットアップ済みの環境: 多くのVPSサービスでは契約時に基本的なOS設定や環境構築が完了した状態になっており、初心者でも難しいサーバー設定を意識せず利用開始できます。
    FX自動売買向けのVPSプランの場合、必要最低限のソフトウェアが揃ったテンプレートが用意されていることもあります。
    面倒な初期設定が少なく、案内に従ってリモートデスクトップで接続するだけですぐに自動売買を始められる手軽さもメリットと言えるでしょう。

※自動再起動後の自動ログオン機能など、VPSによってはメンテナンス後に自動売買ソフトを継続稼働させる工夫がされています。

初心者にVPSがおすすめな理由

以上のように、FX自動売買とVPSの相性は抜群です。

特にこれから自動売買を始める初心者の方には、VPSの利用を強くおすすめします。

その理由をまとめると以下のとおりです。

  • 手間が減り安心できる: 自宅PCを24時間管理する大変さから解放されるため、精神的な負担が大きく軽減されます。
    VPS上で一度設定を済ませてしまえば、あとは基本放置でシステムが動いてくれるので安心です。
    万一自宅の電源を切ってしまったり回線トラブルが起きても、VPS上の自動売買には影響ありません。
    初心者でも安定した環境に任せておける安心感は非常に大きいでしょう。

  • 操作がそれほど難しくない: VPSと聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、実際の操作はさほど複雑ではありません。
    Windows VPSであれば、自宅のパソコンとほぼ同じデスクトップ画面を遠隔で操作できます。
    マウスやキーボードも普段通り使えますし、MT4のインストールやEAの設定も自宅PCで行うのと同じ手順です。
    専門知識がなくても扱えるので、サーバー初心者でも問題なく使い始められます。

  • FX専用VPSサービスの存在: 最近ではFX自動売買に特化したVPSサービスも登場しています。
    こうしたサービスではサーバーのメンテナンスやセキュリティ管理がプロによって行われており、利用者は取引に専念できます。
    例えば、エックスサーバー社の提供する「シン・クラウドデスクトップ for FX」はFX自動売買専用に最適化されたVPSで、停電やPC寿命のリスクなく安定稼働し、電気代など余計なコストもかからないと紹介されています。
    このような信頼性の高いサービスを使えば、初心者でも自動売買環境を安心して任せることができるでしょう。

まとめ

FX自動売買を安定して稼働させるには、原則としてPCを24時間稼働させ続ける必要があるという点について解説しました。

自宅のパソコンをつけっぱなしにする方法もありますが、電気代や故障リスク、ネット回線の不安定さなど多くの課題がありました。

そこで代替策として登場するVPS(仮想専用サーバー)を利用すれば、これらの問題を解決しつつ24時間体制の自動売買が可能になることも説明しました。

VPSを使うことで、常時稼働や安定通信といった環境が簡単に手に入り、初心者の方でも安心してシステムトレードを運用できます。

初めは少しハードルが高く感じるかもしれませんが、一度VPS上に環境を整えてしまえば、あとは日々の取引をストレスなく任せられる快適さを実感できるはずです。

ぜひ、この機会にVPSの活用を検討してみてください。